アクティブラーニングの評価方法
アクティブラーニングという言葉を知っているだろうか。
文部科学省の用語集によると、
【アクティブ・ラーニング】(p3、4、9) 教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れ た教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、 教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査 学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク 等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
近年この能動学習を授業に取り入れようという動きが活発である。
ある日に参加した研究室のゼミでアクティブラーニングに関して面白い議論があったので、自分なりに深めていきたいと思う。
文部科学省では学習指導要領の全面改訂を2020年に小学校で、2022年に中学校で実施していくそうだ。
その中の一つの目標として、
学校教育のよさをさらに進化させることを目指し、「学校教育を通じてどのような力を育むのか」を明確 にして育成する。「アクティブ・ラーニング」の視点は、知識が生きて 働くものとして習得させ、必要な力が身に付くことを目 指すもの。知識の量を削減せず、質の高い理解を図るための学習過程の質的改善を行う。
①対話的・②主体的で③深い学び、の三つが「アクティブ・ラーニング」の視点。特に 「深い学び」こそが質の高い理解に不可欠。
とある。しかし現状としてアクティブラーニングを広げて行くにあたって、いくつかの問題点がある。
一つの問題点として、
教員が生徒の評価をつけにくい
というのがあった。
これを解決するべく、仮説やアイデアが生み出されているのだが、なかなか面白いゼミだった。
発表者によると、アクティブラーニング(以下AL)中、活動中のログを記録したり、フィードバックを行えば、教員の見切れない学生の活動がみれたり、学生自身もモチベーションにつながるという。
まだ発案段階であったが、授業後のフィードバックについて掘り下げたいと思う。
このフィードバック(以下FB)では授業後にチーム内の発言を振り返り、相手に紙に書いて伝えるというものらしい。
これを行うことで学生は学生間で刺激をもらい、チームへ貢献しようというモチベーションの向上にも繋がるという。
教員はこれによって点数をつけるというのだが、ここで疑問がおき、議論がおきた。
点数をつけるためにフィードバックを行なっているのではないかと。
「FBはALで達成しようとしている目的に貢献しているのか」ということだ。
例えば、チームで一緒に物をつくるのが目的のエンジニアリングデザインの授業だと、
授業のあとで、人の発言を振り返っても、
物をつくるという目的には直接的に貢献していない。
ALにおいて既に相互のコミュニケーションが存在していた上で
もう一度相手の発言に対してFBするというのは
AL中にどうして言わなかったのかという疑問も生まれるし
AL中の活動を否定しているような発言も含みかねないと思った。
だから、相手に意見を出すようなFBは+αでALの目的を達成できるとは思えない。
ではどうすればいいのか。
ここからは私の個人的なアイデアを述べていく。
私は
チーム活動がどのように行われたのか、
チームの動きを客観的に監視するような考察を行う。
これが外部に見えやすい出力の仕方かつ、ALで+αの目的を達成できる方法なのではないかと思う。
ALでは、「集団で物事を解決するリーダーシップの養成」
というのも一つの目的のようだ。
活動ログを自分でつくることで、チームを客観的に観察し、自分がどのように貢献すればいいのか分かるだろう。
教員もそのメンバーがどれだけこのチームを把握し、捉えているかという意欲の指標にもなる。
エンジニアリングデザインの授業においての目標である「ものつくり」の面だと、チーム全体の思考回路がどのような経路を経てプロダクトに繋がったのかというプロセスも把握できる。
プロダクトの大切な社会への適合という目的も見失わずに達成できるであろう。
+αである。
と。今までは自分の知っている授業を想像しながら意見を述べてきたが、
ゼミ発表者が述べていたような参加者同士のFBが効用をしめす授業もあるかもしれない。
ゼミを振り返ると、バックグラウンドの知識や経験の違いでこの議論は生まれたのではないかという考察だ。
議論は面白かったものの、何をお互いに想像しているのかの確認、ALによってどんな学習効果を目指したいのかという確認をするべきであったと思う。
デンマークでこれから留学をするわけだが、グループワークの授業をたくさん受ける。
自分がグループワークによって何を達成したいのか明確にすることで自分の学びの濃さを変えることができるんだなと思った。